組合員や家族の方が石綿肺や石綿肺がん・中皮種を発病した場合には、救済措置があります。
1.労働者は労災保険による救済措置があります。
●石綿肺
石綿肺は、原則として都道府県労働局長によるじん肺管理区分(管理1〜4)の決定がなされた後に、業務上の疾病か否かが判断されます。
@「じん肺管理区分が管理4」の場合に業務上の疾病として扱われる。
A管理2、管理3又は管理4の石綿肺に合併した合併症
■肺結核 ■結核性胸膜炎 ■続発性気管支炎 ■続発性気管支拡張症
■続発性気胸 ■原発性肺がん
●肺がん
「原発性肺がん」であって、じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上である石綿肺所見が得られている場合や、胸膜プラーク等の石綿にばく露したことを示す医学的所見が認められ、かつ、石綿ばく露作業への従事期間が10年以上ある場合。
@第1型の石綿肺
A胸膜プラーク(胸膜肥厚班)+ 石綿ばく露作業10年以上
B石綿小体又は石綿繊維 + 石綿ばく露作業10年以上
注)ただし、Bについては、乾燥肺重量1g当たり5000本の石綿小体若しくは200万本以上(5μm超。2μm超の場合は500万本以上)の石綿繊維又は気管支肺胞洗浄液1ml中5本以上の石綿小体が認められた場合には、石綿ばく露作業への従事期間が10年未満であっても、業務上の疾病として取り扱われます。
●中皮腫
「中皮腫(胸膜、腹膜、心膜、精巣鞘膜)」であって、じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上である石綿肺所見が得られている場合や、石綿ばく露作業への従事期間が1年以上ある場合。
@第1型の石綿肺
A石綿ばく露作業1年以上
※中皮腫の認定に当たっては、病理組織検査記録等から中皮腫であるとの確定診断がなされていることが重要ですが、病理組織検査が行われていない場合には、臨床所見、臨床経過、臨床検査結果等から総合して判断されます。
●良性石綿胸水
胸水は石綿以外にもさまざまな原因(結核性胸膜炎、リウマチ性胸膜炎等)で発症するため、良性石綿胸水であるとの判断は、石綿以外の胸水の原因を全て除外することにより行われます。
そのため、診断が非常に困難であり、また、個々の患者の障害の程度(必要な療養の範囲)もさまざまであることから、厚生労働省と協議した上で、業務上外の判断をします。
●びまん性胸膜肥厚
びまん性胸膜肥厚については、肥厚の厚さや広がりが一定の基準に該当し、肺機能障害の程度が重いものであって、石綿ばく露作業への従事期間が3年以上ある場合に、業務上の疾病として扱われます。
@<肥厚の厚さ>
最も厚いところが5mm以上
<広がり>
側胸壁の1/2以上(片側にのみ肥厚がある場合)
側胸壁の1/4以上(両側に肥厚がある場合)
+
A著しい肺機能障害
+
B石綿ばく露歴3年以上
●石綿に関する健康管理手帳について
石綿(これをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む)を製造し、又は取り扱う業務(石綿製品の製造工程における作業や石綿の吹き付け作業等)に従事して、健康診断の結果、両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は石綿による胸膜肥厚がある方は、離職の際又は離職の後に住所地の都道府県労働局長に申請し、審査を経た上で、「健康管理手帳」が交付されます。
「健康管理手帳」の交付を受けますと、指定された医療機関で定められた項目による健康診断を決まった時期に年2回無料で受けることが出来ます。
2.家族の場合における国の法律制定による救済措置について
「石綿による健康被害の救済に関する法律」
●特別遺族給付金・・・時効で受給権の消滅した遺族が対象
特別遺族給付金は、石綿救済法により平成13年3月26日以前に石綿ばく露を原因とする疾病により死亡した労働者の遺族で、労災保険法に基づく遺族補償給付の支給を受ける権利が時効によって消滅した方が支給の対象となります。
また、特別遺族給付金は法施行日から3年を経過した平成21年3月28日以降は、その請求ができなくなります。早めに請求されることをお勧めします。
●労災保険給付の請求・・・救済法施行後の時効成立は救済法の適用なし
平成13年3月27日以降に、業務による石綿ばく露を原因とする疾病によって死亡した労働者の遺族は、労災保険法に基づく遺族補償給付の請求となります。
ただし、遺族補償給付を受ける権利は、時効によって労働者が死亡した日の翌日から起算して5年で消滅します。時効成立後は遺族補償給付も特別遺族給付金も受給できなくなりますので、ご注意ください。
●石綿ばく露の原因が明らかでない場合
石綿ばく露を原因とする疾病について、石綿ばく露の原因が業務によるものなのか、業務以外の原因によるものなのかが明らかでない場合には、労災保険給付又は、特別遺族給付金の請求と同時に、石綿救済法に定められた「救済給付」の申請を行うことも可能です。
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